両手でしっかり野ばらの顔を包み 顔を近づけた時。 「待って!」 ドン、と野ばらは僕の胸を押しやった。 ああ、今日もやっぱりだめか ───… 「…ごめん」 「俺も、ごめん。夕飯作るから座ってて」 「あたしが、」 「いいから身体大事にして。 ご馳走つくるからさ」 おどけるように言うと、ようやく野ばらの表情に笑顔が戻った。