「野ばら!」

「ごめん、この子お願い」


赤ちゃんを受け取って寝かせ、ナースコールを押そうとすると

「待って」

野ばらが叫んだ。



「悠成あたし、」

「もう何も言わなくていい」



僕は野ばらの痩せてしまった頬に手を当てた。


「俺、野ばらのこと嫌いになってない。

あの手紙読んで、むしろ…もっともっと野ばらが好きになった。


過去が大切で

けど俺を大切にしてくれた、どうしようもなく不器用な野ばらが大好きだ」