翌日、野ばらの体調が急に悪くなった。
僕は野ばらに付き添って手を握っていた。
「ねぇ、赤ちゃん抱っこさせて」
目を輝かせてせがむ野ばらに、僕は苦笑してベビーベッドの赤ちゃんを渡す。
「わぁ、重い」
「可愛いな。赤ちゃんってこんなちっちゃいんだな」
くしゃくしゃな顔。
ぎゅっと握られた小さな小さな手…。
「こんなに小さい体なのに、生きるためにあたしのお腹から一生懸命出てきたんだね…。
生まれてくれてありがと…」
そう穏やかな表情で呟いた野ばらが、突然苦しそうに息づいた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…