「ねぇ、いつも何を見ているんですか?」




「……え?」


ばっ!!と勢いよく声のした方向をみると、声の主はなんとなく気まずそうに本を持っていない方の手で頬をかいて


「いや…いつも窓の外を眺めてるから何か面白いものでもあるのかと思って」

私の方を向いてふわりと笑う美人さんに思わずポカーンとしてしまった

まさか…あの人から話し掛けてくれるなんて思いもよらなかった

それより…私の事を知っていてくれた事にかなり驚いたけど

「あ…いえ、ここは緑が多くて綺麗だからいつもただボーッと見ていただけなんです」

半分ウソで半分ホント

ここは都心部と違って青々としている木々や色鮮やかな花が数多くあって綺麗なのは確か

ただ違うのは…見ていたのはあの人であって景色ではないこと

そんなこと言ったら絶対にひかれそうだと思い苦笑いでなんとか誤魔化した