「私なんか…食べても美味しくないです」

「さあ、どうでしょう?」

怯えを含んだ声でそう言葉にすれば、廣瀬さんはフッと意味深に笑い、頬に手を添えると薄く口を開けて徐に顔を近付ける

咄嗟にここから逃げ出したい衝動が襲ったが

捕食者のような鋭い目で射抜かれ身動きが取れない

段々と激しさを増す胸の音と悪寒にも似た震え



「……ッ」

本当に食べられると思い、私はギュッと瞼を閉じた