海の穏やかな波音がすぐ近くで聞こえる

澄んだ青が太陽に反射してキラキラと輝いていて

こんな綺麗な場所で廣瀬さんとご飯が食べられるなんて今でも信じられない

すぐにでもこの場で自分の頬を思い切り抓りたいが、怪訝な顔をされそうなのでグッと堪えた

「そういえば…廣瀬さんってどこの大学に行っているんですか?」

「名乗るほどの良い大学じゃないですから秘密で…まぁ、今二年生で建築の勉強をしているとだけ言っときます」

唇に指をあてて悪戯っぽく笑う廣瀬さん

秘密にされると気になるけど、余計な詮索で嫌われたくないから渋々諦める

「へぇ…大工さんになるんですか?」

廣瀬さんが力仕事…ちょっと想像できない

顔に出ていたのか美人さんはクスッと笑って

「大工というか…建物のデザインを提案する仕事がしたいですね」

そういってふわりと顔を綻ばせる廣瀬さんはなんだかいつもより大人びてみえた

そうだ…年齢も知らないんだった

「廣瀬さんって何歳ですか?」

「20歳ですよ。言ってませんでしたっけ?」

「はい。でも、そっか…一つ年上なんですね」

「じゃあ篠原さんは19歳ですか。若いですね」

たいして変わりませんよ

それに、廣瀬さんは何時も美人で格好良いです…なんて

これはしっかりと心にとどめておくことにします