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電車を降りて、改札を抜ける

この駅は水族館の近くまで向かうバスが出ているので、私は廣瀬さんを連れてバス停へ向かった

その間は廣瀬さんが私が道を思い出すのに必死だと勘違いして、ニコニコしたまま何も話し掛けてこない

それはそれでかなり緊張したけど

ほどなくしてバスが来て、私達はそれに乗る

バス内は夏休みだからか子供連れの家族やカップルが多かった

そんな中、偶々一番後ろの席が空いていたので私はちょっと嬉しくなり、小走りで真ん中にポスッと座る

ちょっと硬めのシートだけど、どこか落ち着く感触にホッと一息吐いた

「…そんなに急がなくても席は逃げませんよ?」

クスクス笑いながら私の後ろを歩いて来た廣瀬さん

あ…しまった

久々のバスにちょっとテンション上がって一瞬廣瀬さんがいる事忘れてた

「…すいません」

子供か…私は

恥ずかしくなり、太腿に両肘をつき両手で顔を覆う

「いえ、私はそういう可愛らしい子、好きですよ?」

指の間から廣瀬さんの屈託のない笑顔が見えて今度こそ下を俯く

「…からかわないで下さい」

「そんなつもりは無いんですけど」

クスッと笑う声がしたあと、廣瀬さんが隣に座った気配がした


そっか…またこの果てしない緊張を味わなければならないのか