この状況で廣瀬さんの顔を見たら自分の顔が真っ赤なのがバレてしまう

必死にすいませんと下を俯いて顔を隠していたら、何を思ったのか廣瀬さんがそっと…私の頬に手を添えて滑らせる


「貴方が今、どんな顔をしているのか気になります。今日、本当は私と水族館に行きたくありませんでした?」

「そんなことっ…‼」

ないです

そう言おうと思い切り顔を上げてしまえば、ふふっと満足気な顔をした廣瀬さんがいて

「やっと篠原さんの顔が見れました」

「あ…」

廣瀬さんの言葉に乗せられたのだと気付いたがもう遅い

廣瀬さんは私の火照った顔を覗き込むと、心配そうに

「顔が真っ赤ですよ?大丈夫ですか?」

なんて

至近距離でそんな顔をされたら…もう



「…水族館まで行けるのかな…私」

プシュゥゥと頭から湯気が出てガクリと項垂れる

心臓がいくつあっても足りません…



天然記念物な美人さんは「道順を忘れたんですか?」などと、的外れな言葉をいってキョトンとしていた






水族館まであと少し

その前に、ご飯を食べるという最初の難関がある事を忘れてはいけないけど

早くも頭がオーバーヒート寸前です…


助けて紫乃ちゃん‼


私は心の中でこの場にいない可憐な少女の名前を叫ぶのでした