駅の改札口でピッとカードを翳して中に入ると

丁度ホームに電車が到着して、私は足早に中へ入る

駅に着く予定時間は待ち合わせ時間の一時間前

これだけ余裕があれば、廣瀬さんに会う心の準備が出来るだろう

ふう…と息を吐いて空いてる席に座る

この時間は朝よりは人口密度が高い

少なくとも空いてる席がほとんど無いくらいに

ユラユラと電車に揺られながら水族館への道のりを廣瀬さんと何を話そうかな…なんて考えていたら

「…あの…」

誰かに声をかけられた


その声は柔く優しい声で、とても近くで聞こえた

……もしかして



落ち着けようとしていた心臓が一気に早い音を刻みはじめる


隣に…いるのは


「篠原さん…ですよね?」


「…廣瀬さん?」

「はい。廣瀬です」

ニコリと美しい顔に浮かべられた綺麗な笑顔に眩暈がした