「へぇ…水族館ですか」

「私も小さい頃に一度行ったきりですけど…とても綺麗ですよ?なにより涼しいですし」

「そうですね…夏休みも近いですし行ってみようかな?でも、一人で水族館は…ちょっと恥ずかしいですね」

「それなら私と行きましょ…」


……って

何言ってるの私‼

いや、もともとは廣瀬さんと夏休みに連絡を取り合えるようにするのが目的だったから間違ってはいないんだけど

でも、話が逸れて遠回りしてここに辿り着くとは思いもよらなくて

自分で言った言葉に今自分が一番焦っている

「篠原さんと二人でですか?」

「あ、いや…廣瀬さんが嫌なら…別に…良いんです…けど」

今、廣瀬さんがどんな顔をしているのか見たくなくて、下を俯いてモゴモゴと口を動かす



私と廣瀬さんの距離は1メートルぐらい

がたんごとんと電車の音も響いている

それでもバレてしまいそうなくらい心臓が痛い程鳴っていた


「そうですね…」

んー…と唸ったあとたっぷり間をあけて






「行きましょうか。一緒に」

そういって、廣瀬さんは見とれるほどの綺麗な笑みを浮かべた