「だって…今、すっごく楽しいんだよ?」

話し掛けられた当初は緊張しすぎて何も話せなかったけど

今では電車で好きな本の話とか音楽とか映画とか…とにかく色々話せるようになって自分ではかなり進歩したとおもってる

「でも成実…もうすぐ夏休みよ?」

「うん。だから?」

キョトンとする私にハァァ…と大きな溜め息をつく

だから何よ?

「相手も大学生なのよね?」

「うん…たぶん」

多分がつくのはまだ年齢を聞いていなかったから

そういえば何処に通っているのかも聞いてないや…明日聞いてみよう

「ちょっと!!聞いてる!?」

「あ、ごめん…何?」

本当に聞いてなかったから素直に謝ると紫乃ちゃんは少しイライラしながら

「だから!!相手も大学生ってことは相手も夏休みがあるってこと!!」

「…うん?」

なんで紫乃ちゃん焦ってるんだろ…

いまいち紫乃ちゃんの言いたいことが分からず首を傾げる

「もうっ!!夏休みに入ったら大学に行かないでしょ!?何時もの電車にも乗らないんだよ!?」

「……あ」

漸く紫乃ちゃんの言葉の意味を理解して顔を青ざめる

「どうしよう!!紫乃ちゃん!!」

廣瀬さんに会えなくなる!!

連絡先も知らないから夏休み中は何にも行動できないし!!

「だからそれをさっきから言ってるんでしょうがっ!!」

『そこ…さっきから煩い。話がしたいのなら外に出てください』

声を大にしていう紫乃ちゃんに、先生は今度こそ静かに怒ったのだった