「え!?わっ」
慌てて両手で自分の口を塞ぐが後の祭というやつで
「まさか…私の事を見ていたなんて…ちょっと恥ずかしいですね」
ハハッ…ってはにかみながら本で口許を隠す廣瀬さんにもう何も言えなくなる
「え…あ…うぅ…」
私だって恥ずかしいし…
それよりなにその仕草…かなり可愛いんですけど
羞恥と照れが混じって更に顔を真っ赤にして言葉にならない声を発する
「………」
「………」
二人して頬を染めて下を俯く
端から見れば異様な光景だと思うが、幸いにもこの車両には私達しかいない
しばらく無言の状態が続き、次の駅で降りるという頃になったとき
「あの…聞いてもいいですか?」
最初に口を開いたのは廣瀬さんだった