「はい。また明日絶対乗ります!!」

「ええ。楽しみにしてますね」

可笑しそうにクスリと笑って手を振る廣瀬さんに私は軽く頭を下げて慌てて電車を降りた

重い扉が閉まり、廣瀬さんを乗せた電車はゆっくりと発進する

それを私は何時ものように見えなくなるまでボーッと眺めていた

ただ一つ…いつもと違ったのは

廣瀬さんが一度だけ窓の方へ顔を向けて少し笑ってくれた事


「……嘘」

どうしよう

今かなり情けない顔をしていると思う

だって

最後の最後に

楽しみにしてる…なんて

社交辞令にしてもあの綺麗な笑顔付きは破壊力がありすぎる

火照った顔を冷ますため勢いよく走って次の電車へ向かった


勿論、夏場に走ること事態が根本的に間違いで、汗びっしょりで他人の目を気にしながら電車に乗り込んだのはいうまでもない