食事の後、国王や王子と久しぶりに話をして、結衣たちは二階にある昔ロイドが住んでいた部屋に入った。

 しばらくの間、モエはランシュと一緒にテラスに積もった雪で遊んでいたが、しゃがんだまま居眠りを始めたので、ランシュが抱き上げて部屋に戻ってきた。

 少し寝ぼけたままのモエは「お兄ちゃんと一緒に寝る」と言って、ランシュにしがみついている。

 ランシュは苦笑して「じゃあ、一緒に寝ようか」と言いながら、モエを抱いたまま向かいの客室に引き上げた。

 元々ランシュだけ、客室に泊まるはずだった。
 ランシュがその方がいいと言っていたのだが、結衣は少し心苦しく思っていた。
 モエが一緒の方が彼も寂しくないだろう。

 ランシュとモエを見送って部屋に戻ったロイドが心配そうにつぶやく。


「あいつ、モエに気に入られているのはいいが、あまり構い過ぎると益々女が縁遠くなるぞ」


 確かにランシュの浮いた話は聞いた事がない。
「恋人が出来たら紹介してね」と言っておいたが、紹介された事はない。
隠しているわけでもなさそうだ。