広がる満天の星空。
 そこへ時折、フワフワと白いものが舞い飛ぶ。
 気のせいではない。


「……雪?」


 どうしてクランベールに、と聞くまでもない。
 ロイドの仕業だろう。


「おまえが見たいと言っていたホワイトクリスマスだ」


 このところ頻繁に蒼太の所へ行ったり、やり取りをしていたのはこのためだったのだろう。

 なにしろ温暖なクランベールには雪など降らない。
 ロイドも雪を見たのは、初めて結衣の実家に行った時の一回だけなのだ。

 雪がなんなのか、どうやって降るのか、それを調べて実現するのは大変だったはずだ。

 なんでもない事のように言うロイドが、妻の欲目も上乗せされて、たまらなくかっこいい。