戸籍はそのままになっているので、両親と蒼太が同時に事故にでも遭って死亡したりしたら、厄介な事になりかねないが、籍を抜いても移す先がないので仕方ない。

 ロイドの自宅の改装は、ブラーヌの都合もあるので、まだ終わっていないらしい。
 しばらくは王宮内のロイドの部屋に、一緒に住む事になる。

 少しばかりの荷物は、すでにクランベールに持って行った。

 今日、ロイドが迎えに来たら、二人の新生活が始まる。

 新居での正式な結婚生活は、もう少し先になるが、両親へのけじめをつけるため、先に結婚式を行ったのだ。

 写真を眺めながら、数日前の出来事を反芻していると、母が声をかけた。


「結衣、ロイドさんが来たわよ」


 席を立って居間を出ると、二階から蒼太に続いて、ロイドが下りてくるところだった。