そして半蔵と入れ違いで一人の青年が襖をゆっくり開いて入って来た。


この時代の人にしては背が高く、175~7cmといったところか。

こげ茶の短髪、凛とした瞳。

とても爽やかな印象を抱く。


「半蔵の奴、俺を探しに行ったか?……まぁいいや。」


そんな事を呟いて上座に座る青年。




………え?



上座に座った……ってことは⁈



「名乗るのが遅れたな。俺が徳川家康だ。よく来たな、真田の未来の少女よ!」



そう言ってニカッと笑う青年こそ。

私が会うべきその人・徳川家康だった。


「あなたが家康…⁈嘘でしょ⁈」

「そうだなぁ、その通りかもしれないな……。」

「はい……?」


この家康。

なんと言っても若すぎる。

どう見ても40歳は越えてない。



年を逆算しても歴史と合わない__


そして矛盾を含むような発言。

どうなってるの……?



「で、あんたの名前は?まだ聞いてない。」

「……森川真琴です。」

「真琴か、可愛らしい名前だ。」


家康は微笑む。

私に警戒心はまったくない様で。

どこか親しげでこっちが戸惑う。


「あなた一体何者なんですか?徳川家康…にはとても思えない。」

「お前がそう思うのも無理はない。俺は徳川家康であり徳川家康でない者だからな……。」

「からかってるんですか?」

「俺の正体を知るために来たんじゃないのか?」

「………。」


家康は余裕顏で笑う。


「ここからは駆け引き無し。全部本当の話だ。」




家康の目つきが変わった___








「俺はお前と同じ未来から来た人間だ。」






私の頭は真っ白になった。