佐助さんに急いで呼び戻され、私達は岩櫃城まで戻ってきた。
地炉の間に行くまでの間に急いで呼び戻された理由が明かされた。
「え?佐助さん、それ本当ですか⁉︎」
「本当だよ。海里君の術を沙江姉が解いたってよ?」
そう。
新府城で捕らえられていた私の幼馴染の海里には術が掛けられていることが解り、沙江さんが術を解いていた。
それが今ようやく終わって海里の意識が戻ったという。
「で、真琴ちゃんは地炉の間じゃなくてそっちの座敷牢に行ってくれだってさ。」
「えっ……でもいいんですか?」
「当たり前だ。大事な幼馴染なんでしょ?」
佐助さんは軽く微笑みながらそう言ってくれた。
「はい!じゃあまた後ほど!」
戦の話も大事だろうけど……
ここは昌幸様のご厚意に甘えておくことにしよう。
私は少し駆け足で座敷牢へ向かった。
___………
「……幸村妬いてるでしょ。」
「うるさいぞ、佐助。」
幸村と佐助は真琴の背中を眺めながら話を続ける。
「ま、俺もだから許せって。……後は幸村の行動次第だぞ〜?」
「まて、佐助今……」
「俺大将に言われてる仕事他にもあるからさ、また後で!」
佐助は幸村の言葉を遮ってシュッと姿を消した。
「…………。」
幸村は何か思う所があったようだが、彼自身も地炉の間に向かうのであった。