✳︎side真琴✳︎
さっきは海里を投げちゃったけど……大丈夫かな?
まさか昔お父さんに教わった護身術が役に立つ時がくるなんて……。
今となっては苦笑いものである。
私は少し反省した。
そして思う。
私の行動は正しかったのか と。
『真田幸村に会うために来たの!』
その言葉には偽りはない。
でも、海里は幼馴染みで大切な存在であるのにも間違いはなかった。
けれど、最終的に私は幸村を守ることを選んだ。
幼馴染みの海里ではなく……。
いくら敵方であると言っても私は海里を傷付けたのだ。
その事実は私の心を締め付ける。
海里は今、捕虜として沙江さんが見張っている。
この戦がひと段落して話す余裕が出来たら海里とちゃんと話そう。
その頃には記憶が戻ってくれてればいいな……。
そう願いながら遠くを見る。
私の視界には美しい森。
静かすぎる……
そして体格の良い緋色の甲冑を来た武将が見えた。
さぁ、気を引き締めて行く時。
「勝頼さまー!森川真琴、進言をしに参りましたー!軍を停止してくださいー!」
私の呼び掛けに応えたのだろうか。
軍が一旦停止した。
勝頼様、目を覚ましてください……!