その時だった。
「真琴!何をしているの!」
沙江さんの叱咤の声が飛んできた。
「あなた忘れたの⁈自分の意志を!」
紗江さんは相手の刀を自分の刀で受け止めながら言葉を続ける。
その言葉に思わずハッとした。
自分の意志……
私は……
「あなたは幸村様の為に色んな努力をしていたじゃない!あなたは何の為にここに来たの⁈」
そうだ……私は……!
私は耳を塞ぐ手を外し、立ち上がる。
「私は……真田幸村……あなたに……」
そして前をキッと見る。
「あなたに会うためにここに来たの!」
そのまま刀を交えている幸村と海里の間に突っ込んで海里に体当たりする。
「なにっ⁈」
私は海里ともつれながら転がる。
そして素早く立ち膝になりそのまま海里を背負い投げする。
「がはっ……」
受け身が取れなかった海里は動けなくなった隙を幸村に取り押さえられた。
「真琴、よくやったわ。」
紗江さんがフッと微笑んでもう1人の忍に向かい印を結び
「宴華(えんか)。」
そう呟く。
すると何処からとも無く桜の花びらが敵の忍の周りに降り注ぐ。
「あん?花びらじゃ俺は倒せ……」
そう余裕な態度でいたのも一瞬だった。
「開宴。」
沙江さんのその一言と同時に
___ズドドドドっ
花びらは硬化し先は鋭い刃となって突き刺さった。
「うわぁぁぁぁ!」
そんな忍は大怪我を負い、気絶した。
「終宴……ね。」
ふぅっ と溜息をついた沙江さん。
そしてすぐに私と幸村を見て言う。
「後は任せて武田の大将をどうにかしないとダメでしょ?」
「はいっ!幸村、急ぐよ!」
「あぁ!」
私たちは沙江さんを残し、急いで勝頼様の後を追う。
………まだ間に合って!
武田家は滅びさせない!