✳︎saide半蔵✳︎

「半蔵殿!たった今お館様が岩櫃行きを御決断なさった………!」


そう言いながら苦渋の顔をしているのは小山田。

ここは新府城の一郭。


「心配には及ばぬ。このことは予想済みだ。」


説得に失敗するのは目に見えていた。

あの真田の小娘が説得に来たのを知った時からな………。


「では私はどうすれば良い⁈」

「俺には秘策があると言ったであろう。勝頼は必ず岩殿へ向かわせる……手はず通りに離反しろ。」


そう言い残して俺はその場を去る。


それにしても他国の忍をここまで入れるとは武田忍も安いもんだな……


「そんな様だと……君主取られるぜ…?」


俺の前には勝頼の背が見える。


「全ては家康の為に………」


俺は仕事をする。