私はバックからデジカメを取り出した。
電源を入れてみる。
__ピロリン♪
ラッキーなことに電池が残っていた。
まだ動くのなら好都合だ。
「ま、真琴、それは?」
さすがに昌幸様は初めて見るデジカメには驚きを隠せないようだ。
「これは、デジカメっていいます。」
私はにこっと笑いながら答える。
「真琴殿…そ、それは新しい南蛮の兵器か……?!」
信茂が慌てて勝頼様の前に出て庇う体勢に入る。
「違いますからね?!安心して下さい?!」
そうは言っても信茂は私に睨みを利かせたままだ。
「これは言わば、南蛮のカラクリです。400年後の日ノ本で作られた…」
「ほう……カラクリ……」
勝頼様は興味を持ったようでデジカメを近くで見ようと体を前に乗り出す。
「今ある真実を写すものです。」
「真実を写す……と?」
「はい!……少し失礼します!」
私は勝頼様にピントを合わせ、
___ピピッ パシャッ
シャッターを押した。
うん。うまく撮れた!上出来!
そして、勝頼様に今の写真を見せる。
「ほう!儂ではないか!これは面白い!」
「喜んでいただけてよかったです。」
「儂はこんなカラクリは初めて見た……そなたが未来から来たと言うのは本当みたいだな。」
勝頼様にとりあえず信じてもらえたようだ。
よしっ第一段階クリアだね。
「はい。そしてその事を踏まえてお願いがあります。」
そして私は平伏しながら言う。
「この度、勝頼様にはここ新府城に籠城していただきたいのです!」
「ふむ………」
勝頼様はさっきよりもかなり迷っているみたいだ。
___後もう一押し!