かれこれ20分。

私は未だに部屋がわからず同じ廊下をうろうろしていた。


「…………。」


もはや言葉も出ない。

侍女さんに聞こうとしても誰も来ないし。


「……私ってほんと馬鹿!」


言っても仕方ないのだが。


なんか時間が勿体ないって思えてきた。


もういいや。この辺の縁側に居よう。

そのうち誰か来てくれるでしょ。


そんなわけで近くに腰を掛ける。


「月……」


ふと、夜空を見上げて呟く。

月は小さい頃から好きだった。

見ているだけで元気になれる。


現代でも戦国でも月は変わらないものなんだ……


当たり前だけど何か感動に近い感情を覚えた。

こんな事を思っている間にも織田軍は迫ってきている……。

一息付くのもここまで。


「やるかっ!」


大きな声で気合いを入れ直す。


___うん。私ならできる。