部屋に戻ろうと廊下を歩く。
……それにしても大きな屋敷だ。
これだけ大きな屋敷である。
昌幸様は武田家の中でも信頼は大きいのだろう。
「なのに昌幸様の進言に聞く耳持たずなんて…信じられない。」
思わず口に出てしまった。
………。
誰も居ないからいっか。
しかし、城を捨てるとはよっぽどの事。
相当、自信喪失+疑心暗鬼になっているのだろう。
聞くところによると、ここ最近は小山田 某一人を侍らせ、他の家臣の意見は聞かないとか。
とにかく、その小山田 某が反論できないように説得しないと。
小山田が「騙されるな。」と勝頼様に言ってしまえばどうしようもない。
そう言えば小山田って聞いたことあるけど……
誰だろう……重要な人だった気がするけど思い出せない。
まぁ、部屋でゆっくり考えようっと。
そう思いながら月明かりに照らされた廊下を歩いて行く。
………って、待って。
私部屋からどうやって来たっけぇぇ?!