真田屋敷・大広間。

侍女に呼ばれて私はここに来ていた。

そこには綺麗に盛り付けられた夕食が並んでいる。

海無し県のためか、海産物は見当たらないが、山の幸がたくさんあった。


「うわぁ……!すごっ!!」


私のテンションはMAXだ。


「如何かな?真琴。」


上座に座っている昌幸様が声をかけた。


「素晴らしいです!」


そもそも山菜好きだった私にはたまらない。

お腹が鳴るのを堪えながら膳を眺めていると、廊下の方から足音が聞こえた。

そして障子が開く。


「すみません、遅れてしまいました。」

「父上、真琴、待たせてすまぬ!」


信幸さんと幸村だ。
これで全員揃ったみたい。


「では、食べるか!」

昌幸様が食べ始めたのを機に皆食べ始める。


てか、美味しい!美味しすぎる!

山菜ってこんなに美味しかったっけ?!


私は料理に感動して箸が止まらない。

隣に座った幸村がちょっと気になってチラッと見てみた。


……箸は進んでいるものの、何か考えているようだった。

まだ何を考えているんだろう?


そう思った時、幸村は箸を置き、綺麗に座り直して昌幸様の方を向く。


「父上、此度真琴をここに呼んだ真意を明かしていただきたく。」


視線は真っ直ぐで揺らぐことなく昌幸様を捉えていた。


「そうだな…」


そう言えば。

まだはっきりとした理由を聞いていなかったなぁ。


私も食べるのを止めて箸を置き、向き直る。

そして私は思いもよらない答えを聞いた。