あれ?
刺さった……?
忍は私の目の前に膝をついて倒れた。
忍なら、私の不意討ちだって避けれらるはず……
あくまであれは、気を引くためにやったのに。
__絶対におかしい。
「貴女を侮っていましたよ。」
いきなり耳元で囁(ササヤ)かれた。
目の前にいるはずの忍の声__……
しかし、目の前には倒れた忍がいる。
どういう事……?!
動揺しているうちに後ろに手を回され、身動きが取れなくなる。
気付けば、倒れた忍はグニャリと曲がって消えた。
……忍術だったんだ!
「いやっ!放して!!」
「放しません。このまま連れていきますから。」
後ろに回された手を縄で縛られた。
無理矢理ほどこうとしたが、縄が手に食い込んで痛い。
忍は私を抱き抱え、高く飛び上がった。
だれか………!!
幸村…沙江さん…佐助さん…昌幸様…!!
ふと、昌幸様の不敵に笑った顔が思い浮かぶ。
__私のスイッチが入った。
昌幸様の策略……わざと隙を作って私を連れていかせる。
それは何を意味するのか。
__役目を果たした忍は油断する。
そこに付け入るため…
全ての謎が解けた。
今までの恐怖が嘘みたいだ。
その時、忍の足に手裏剣が刺さった。
痛みに耐えられず、地に落ちる。
僅か一瞬の隙に私は助けられた。
「まったく、昌幸様も無茶苦茶だな〜」
「佐助さん!」
佐助さんはにっと笑うと、手の縄を短刀で切ってくれた。
そして、佐助さんの横にもう1つの影が舞い降りた。
「私も居るわよ?」
他でもない。沙江さんだ。
沙江さんが私の警護をし、佐助さんはあっという間に忍を捕らえた。
「さぁ、屋敷に戻りましょう?」
「はい!」
もう既に、煙は晴れて幸村が手を挙げているのが見える。
ようやく、私達は屋敷の中に入った。