時は過ぎ、遂に新府城の城下にやって来た。
そして、一際立派な屋敷へ着く。
__真田家の屋敷だ。
「おぉ。やっと来たか。」
門の前にはなかなかイケメンな男の人。
体はしっかりしていて、髭がけっこう似合っている。
幸村と信幸様の父・真田昌幸(サナダマサユキ)様。
「予定より早く着いたはずですが。父上。」
「ふっ。待ち切れんのだよ。」
昌幸様は不敵に笑った。
見ているだけで、何か隠していそう…と言う印象を与える。
「私は先に中へ行きます。また後で、父上。」
信幸様が私と幸村を置いて先に城へ行った。
あれ……?
何で私を置いて行くんだろ?親子だけで話があるんじゃないの?
この場には幸村と昌幸様と私の三人。
なぜか、私の顔を昌幸様がジ~っと見ている。
「ほぅ…この娘が言っていた未来人か…」
なんだか、満足そうに目を細めて微笑む昌幸様。
……何を考えているかすごく分かりにくい。
「えっと…初めまして、森川真琴です。」
とにかく、笑顔で対応。
が、急に昌幸様の表情が鋭くなる。
「真琴…か。儂はな、使えない者は真田家に置かぬ。」
「は、はい。」
うわぁ…(汗)
いきなり宣戦布告…
かなり怖い。
「得体の知れない者も置かぬ。……が、」
「……へ?」
逆接?!
しかも、また微笑んでいる。
「直接会って分かった。そなたはどちらにも当てはまらない。」
突然そんな事を言われて、目をパチクリさせるばかり。
それってつまり……
「森川真琴を真田家に仕える事を正式に許す。」
私の品定めかー!
びっくりした……。
驚く私を見て笑う幸村と昌幸様。
私も思わず笑ってしまった。
だけど、昌幸様が私をここに呼んだ理由はまだ他にある気がする……