私は、廊下を小走りで幸村の部屋までたどり着いた。

「幸村っ!」

__スパンっ

障子を思いっきり開けてしまった(汗)

「真琴、今から新府城に兄上と一緒に行くぞ。」

「……へ?昌幸様は進言を通したの?」

「いや。父上からの報告はなかったが、代わりに伝言でな。」


そっか……。

まだ籠城するって決まった訳じゃないんだ……

ちょっぴり残念だ。

でも、ある意味いいかもしれない。

籠城する方向に向かうかもしれないし。


あれ………?
新府城に“一緒に行く”って言った?!


「幸村、私も新府城に行くの?!」

「そうだ。父上が真琴も呼んでいる。」


う~ん……何で私も呼ばれたのかな?

何か、裏がありそうで無さそう。


「真琴?」

幸村が、気まずそうに私の名前を呼んだ。

考え事をしていると、ボ~としてしまうらしい。

こんな風な状況、何回目かな(汗)

そのたんび幸村が気まずそうに呼んでくれるんだけどね。


「ご、ごめん!いつも、いつも……」

「いや、気にしてない。」


優しく微笑んでくれる幸村。

私の鼓動が速くなっているのがわかる。


「準備して早速、新府城へむかうぞ?」

「う、うん。」


私は、急ぎ足で幸村の部屋を出る。

__真っ赤になった私の顔を見て、沙江さんが笑っているのが見えた。