「『お、佐助か。』じゃないでしょーが!」
「……悪い。一人になりたかったんだ。」
「まぁ、無事なら別にいいけど……その子だれなの。」
佐助と呼ばれたその忍は、私をジト~とした目で見る。
「えっと……森川真琴です。」
にこっと笑って答える。
あくまで、私は仕えさせてもらう身だしね。
「真琴ちゃんね。」
佐助さんも笑顔を返してくれた。
敵意を持ってはいないみたいで助か……
__ザッ
その音と同時に首筋に苦無を突き付けられた。
「で、あんた何処の間者?」
さっきとは全く違う冷たく、突き刺さる声。
怖さのあまり、うまく声が出ない。
「えっ……ち、違います!間者じゃないです!!」
やっとの思いで否定する。
半泣きだ。
「__違うみたいだな。ごめん?驚かせた。」
佐助さんがちょっと申し訳なさそうに笑った。
……今のは本当にヤバかった。
「驚かせた」で済むものじゃないよ!
「佐助に余計な心配をさせたな……悪い。」
幸村が隣で、呟く。
「俺も、悪そうな子に見えなかったんだけどね~。一応、念の ためね。」
二人のやり取りに唖然とする私。
……幸村達には日常なのかな?
その様子を見た幸村があわてて紹介する。
「__俺の相棒の猿飛佐助だ。」
……!!
猿飛佐助って真田忍隊の隊長で有名な!
幸村に最後まで尽くした、忠義の忍。
やっぱり、私の予想は当たってた。
「さっきは本当にごめんね!敵意はないから!」
とても優しそうで気の利きそうな人!
よかったぁ、佐助さんが味方で……。
「詳しい事は中で話そうか。」
幸村の一声で、私達3人はようやく城の中に入った。