ちょっと急な山道を幸村は上手に馬を操って登っていく。

戦国武将にここまで上手な人はいないかもしれない。


「幸村は馬の扱いが上手だね!」

「そうか?昔、父上に教えてもらったんだ。」

「お父様も上手なんだ!」

「まぁな。信玄公に教わったらしい。」


うわっ、すごっ!!

信玄公って武田信玄のことでしょ?!
いいなぁ~……。

そんなことを考えながら、ふと前を見る。

城門が近くだ。

間近で城を見ると、迫力が違う。

現代はほとんどの城が跡地になっている
から、貴重だ。


……あとで写メ撮っておこう。


すると、幸村が馬を止め私を降ろして、自分も降りる。


「あっ…ありがとう……。」


うわぁ!

自分、顔真っ赤!
幸村にお姫様だっこしてもらえるなんて……!


「ま、真琴?大丈夫か……?」

「え?あ、うん。大丈夫……。」


そう言いながら、私達は城の中に入っていく。

その時だった。


__シュタッ


誰かが後ろに降りて(?)きた。


「ちょっとぉ。探したんですけど。」


振り返ると、幸村と同じくらいの少年がいた。

服装からして忍だろう。


「お、佐助か。」

「……佐助?」


その名前を聞いて首をかしげる私。

そう言えばさっきも「佐助」って言ってたような……


その名前ってもしかして……。