んー…と悩んでいると伯が耳元で




「は?何?協力しようとか仲良くしようだとかほざいてたのはアンタなのに何も考えてないってわけ?本当におめでたい頭だね、一回脳外科医に見てもらえよ。」




ぐちぐち言ってきた。




そりゃあ決められてなかった俺も悪いけどそこまで言わんでもいいんじゃなぁい!?




その時、電話が鳴った。
携帯じゃない、この家の電話




つまりー‥




「も、もしもし…」



『さっきはよくも警察を寄越してくれたな』




やはり、犯人からだ!




俺達も廊下から中に入り、電話の内容を聞いた。




「あ、あの…!け、健太は…健太は無事なんですか!?」





ゆりさんの必死な声には、犯人を逃がしてしまった俺に酷く罪悪感を与えるものだった。




『安心しな、怪我一つしちゃいねぇよ。
あとそれから、そこにサツがいるな?』



「えっ…」




『いるのはわかってんだよ。いいか、お前ら、これ以上嗅ぎ回るんじゃねぇ。金さえくれりゃすぐ返してやれるんだからよ。』




ここで野木さんがゆりさんと電話を変わった。



「はじめまして、野木と申します。
君の言い分は分かる。だが、健太くんが無事なのかどうか、私達には判断が付きにくい。無事かどうか声を聞かせてもらえないか。」




野木さんの声は穏やかなものであり、犯人を挑発させたりするものではなかった。




『…』




数分の沈黙のあと、犯人は言った。



『駄目だ。』




泣き崩れるゆりさん。




「わかりました。では何か、他に怪我がないという事がわかるものを教えていただけませんか?」



『駄目だ駄目だ!早く用意しろ!』




ガチャン!と切れた電話