木山さんはPCの画面を見て眉間の皺を寄せる




だが目を離すと首を横に振った。




「覚えている者なんているわけがないだろう。私は上の人間なんだぞ。いちいち個人一人なんか覚えていられない。」




そう言うと伯は盛大な舌打ちをしてからPCを自分に引き寄せるとカタカタとキーボードを打った。




「ホラ」




と画面に出したのは先程より少ない人数の顔写真だ。




「リストラされた奴の中でその後再就職が出来ていない奴、リストラを受けて多大な被害や問題を抱えてる奴に絞ってみた。」




それをのぞき込む木山さん。




「…あ、コイツ」




と漏らした言葉




「コイツは見覚えがあるぞ!私に刃向かって来た奴だ!!」




と怒鳴った。




刃向かうって?




と東さんが聞けばペラペラと喋る木山さん。




「解雇した後にな、いきなりつかみかかって来たんだ。」



「つかみかかるなんて、なんで心当たりがないなんて言ったんだ?」



「ああいう事はよくあるからだ。いちいち気にしてなどいられん。」




東さんの言葉にそう返した木山さん。




…よくある事なのかよ




「住所は、ここから二駅の所だ。」




伯がさっさと行け、と手を振る。




バイバイ、じゃなくシッシッ!だからね




誰が汚いものだよ。




「お前も行くの!」




伯の腕を引っ張り無理やり伯を立たせた。




「じゃ、なんか進展あったら連絡よろしく」




そう言った淳子さんに返事をして木山邸から出た。