あー‥それね。




いくら廊下でも、ゆりさんなどの一般人に聞かれるとまずいので




俺は少し屈んで伯の耳元に小声で話した。




「…ようするに、健太くんを誘拐した犯人が木山さんの黒い噂が元で損をした人物、だったらヤバイだろって話。」




つまりは俺らワケアリ課が木山さんの黒い噂の何かを知ったら




「…もみ消せって事……?」



「ま、早い話がな」




誘拐は解決して、黒い噂はなかった事にするって話だ。




伯は舌打ちをして、嫌悪感を露わにしていた。




わかるよ。




でもな伯




警察は組織だ。




「…だから嫌いだ。警察も、この国も。」




そっか、仕方ねぇよ。




「…だから、…んな事が……る……よ」




途切れ途切れの伯の言葉は、俺にはよく聞こえなかった。




「なんか言ったか?」




だから聞き返したのに




「うるさいようすらモブ。」



「うすらモブ!?」




酷い言葉の暴力きたな!




「おーい、何してんだよ。」




東さんが呼び寄せてきたから




ここからは、本気で仕事に打ち込もう。




「よしっ!健太くん、助けるぞ。な、伯!」









「君に言われるまでもない。」




俺達警察は組織だ。




黒い部分もある。




でもな、伯




黒い部分で、救えるモンがあるなら




俺らワケアリ課は、黒い正義になるんだよ。