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「息子はっ‥息子はどうなるんです!」




来て早々、ヒステリーな声に迎え入れられた。




木山さんの孫の母親、つまり木山さんの義娘さんだ。




名前は木山ゆり




誘拐されたのは木山健太くん。




恐らく時間的に考えて下校時に連れ去られたと思われる。




「犯人から電話など、接触はありましたか?」



「一回だけ…息子は預かった、助けたければ8千万用意しろって…」



「8千万ですか……」




淳子さんとゆりさんが話す。




その後ろにいる、木山さんが俺らを睨む。




一通り話が終わると、木山さんが話に割り込んできた。




「何故貴様等が手配される?よりによってワケアリ課か。」




原因はテメーだろうが




全員思った。




「…8千万……」




ボソッと、伯が呟いた。




「お金なら準備しますっ…!だから健太を…」




確かに、この家を見る限り金銭的な問題はない筈だ。




「木山さんよぉ」




話に割り込んだのは東さんだ。




「今の話を聞く限り金銭的な面じゃあ、問題なさそうだな。」




俺も思った。
まず家がデカいし、家具だって高価そうだ。




「じゃあ警察なんか頼まなくとも金払って終わり、それで良かったんじゃねぇのか?木山さんならそうしたいんじゃねぇか?」




暗に事件にする必要はなかったんだろ、って話だ。




木山さんは探られたら嫌な腹があるからだ。




わざわざ警察に頼むのも妙な話だ。