俺の腕の中で安心しきったように眠る彼女。

……そう。まるで、猫みたいに。


「こういうこと、他ではしてない…よね?」


本来ならば、この上なく嬉しい状況で。

抱きしめたまま、一緒に眠ってしまいたいくらいなんだけど…


彼女の綺麗な髪をゆっくりと撫でながらも、内心は全く穏やかではない。

あんな現場を見て、落ち着いていられるわけないでしょ?

だって…


「こんな人気のないところで、他の男と2人で過ごしてたなんて…」


さっき、彼女は“最近ずっと”って言った。

あの打ち解けた雰囲気からして、昨日今日知り合ったわけじゃなさそうだし…

もう何度も、ここで会ってるってことだよね?

それって…


「んー…?」


…っと、いけない。

思わず、彼女を抱きしめる腕に力が入っちゃった。


起こしちゃう。

力を緩めれば、再び聞こえてくる寝息。


きゅっと俺にしがみついたまま。

すやすやと眠る彼女の姿。


それは、文句ナシにめちゃくちゃ可愛いわけで…


「こんなの、さっきの彼には見せてない…よね?」



ヤダな…

なんだか、すごく嫌な予感がする…