「…あーっ。もう!いいよ。わかったよ。」


とうとう観念したのか、“男”は立ち上がったようで…


「もういい。お望み通り、今日は消えます!」


ガチャガチャと、乱暴にドアノブを回す音が聞こえた。


……どうしよう?


「じゃーね。センパイ」

「もう2度と来るんじゃないわよっ」

「さぁ…?」


ドアが開いて、“男”が出てきた。

その瞬間、咄嗟に近くの柱の影に身を隠してしまった。


……俺ってば、何やってるんだろう?


タンタンタン、と。
リズミカルに階段を降りる音を聞きながら、息をひそめて相手が立ち去るのを待つ。

ちらっと覗き見た後ろ姿は、やっぱり“男子生徒”で…

嫌な予感と、乱れる鼓動。



何だ?この感じ。

なんだかすごくもやもやする。


前にもあったような…


あ。そっか。

あれは確か…














「…今、誰か来てた?」