「来るなって言ったでしょう?」
それは間違いなく…
「ここは私の場所なの!寝るなら他のとこに行ってよ。」
大好きな“彼女”の声。
だいぶ、ご立腹みたいだけど…誰かいる?
「そもそも、どうやって入ったわけ?」
この先には屋上しかない。
“立ち入り禁止”で、先生以外で鍵を持っているのは俺たちだけ。
入れないわけだから、当然、近づく生徒なんていない。
人気のない場所。
今まで誰かとすれ違ったことすらないのに…
おかしいなぁ?
不思議に思いながらも、俺は階段を上る足を早めた。
屋上のドアまであと少し。
そんなとき…
「……うるさいなぁ。」
ぼぞっと。小さくもはっきりと響いた彼女以外の“人間”の声。
しかも…
「別にいいじゃん。俺にも使わせてくれたって。」
それは明らかに、男の、声。
「ここは“公共の場”なんだから。みんなで“仲良く”使うべきでしょ?」