「最近の修ちゃん、めちゃくちゃ態度悪いでしょ?」


まるで俺の心を見透かしたように、くるみちゃんは言った。

なんでわかったんだろう?


「でもね、許してあげてほしいの。」

「え?」

「修ちゃんも、きっとツライんだと思う。」


……ん?


「あのね、大きな声じゃ言えないんだけどね…」


ちょいちょいと、小さく手招きをするくるみちゃん。

促されるまま、そこに耳を近づければ…


「修ちゃんね…彼女にふられたばっかりなの。」



てっきり“内緒話”かと思ったのに…

そのままのボリュームで、くるみちゃんは言った。



……って、え?



「ふられた?」


修ちゃんが?


「そう。ふられちゃったの。だから…「“ふられて”ないから!」


言い掛けたくるみちゃんを遮って、慌てて駆け寄ってきた修ちゃん。



「くるみ!お前勝手なことを…「あ!ごめーん。言い方間違えちゃった。」



口を押さえようとした修ちゃんの手を押し退けて、くるみちゃんは無邪気に笑う。

楽しそうに見えるのは…気のせい?



「“ふられた”んじゃなくて“捨てられ”たんだよね?」