「あゆちゃん、おっはよー!」


教室に入ると、いつもの…いや、いつも以上にキラキラの笑顔で出迎えてくれたくるみちゃん。

今日も朝から元気だなぁと思いつつ、


「おはよう。」


俺もにっこりと返した。

くるみちゃんは、いつもこんな感じ。

きっと、寝起きもいいんだろうなぁ…羨ましいよ。


「あれぇ?風歩ちゃんは?」


自分の席へ向かう俺を見ながら、くるみちゃんは不思議そうに首を傾げた。


「あゆちゃんと一緒じゃなかったの?」

「え?」

「今日はあゆちゃん家からそのまま来るって言ってたから、てっきり…」


言いながら、教室の入り口付近をきょろきょろと見渡している。


「え?風歩ちゃん、まだ来てないの?」



…そんなはずはない。


昇降口まで一緒に来て、俺はそこで生徒会の役員の子に呼び止められて…

長くなると悟ったのか、彼女は「先に行ってる」って言って…



「あーあ。“逃げられちゃった”」

「へっ?」

「あゆちゃん?それは明らかに“逃亡”ですよ?」