――……

―――――……



「だから、出てってよ!」



……え?

中から聞こえてきた声に、俺はドアノブに伸ばしかけた手を慌てて引っ込めた。


「出てけ、ってば!」


この先は、屋上で。

それは、間違いなく彼女の声で。

彼女が怒鳴っている、その相手は…


「ナツメっ!」


……やっぱり?


俺の中で沸々と沸き上がる“何か”。

やだなぁ…。ようやく心の平静を取り戻してたのに。



あの日、彼女にちゃんと“言い聞かせて”。

とりあえず、ひと安心。


…と行きたいところだったけど、やっぱり気になる“ナツメ”の存在。

どんな人間なのか。
一体、どういうつもりで屋上に来ているのか…


気になって。気になって。

でも、これ以上彼女に聞くわけにもいかないし、

自分で“調べる”…なんて、そんなコソコソしたことはしたくないし…



何より、彼女を信じたかったから。

なるべく考えないようにしてたのに…



「今すぐ、出てって!」