「吸血鬼、だからな。あんたの血の匂いが堪えたんだろう」
「空きっ腹に鮮血じゃなぁ」
ーー三日も、お腹空いたままってこと?あれ、じゃあ……
「三日前は、血を飲んだの……?」
「ああ。でもあいつは、人間を襲ったりはしてねぇよ」
「缶入りの血液を飲んでたんだ」
説明しながら、手早く包帯を巻いてくれる。『痕は残らないだろう』と言ってくれた。
「缶入りの血液?そんなのあるの?」
「魔女たちが人間に献血させて、それを缶に詰めて売っているんだ」
「日持ちしないのが難点なんだよなぁ。たいてい、次の町まで数がもたねぇんだ」
「それで、お腹空いてるんだ……」
「ああ。ーー血は止まったからな。気になるなら、見に行ってやれ。あんたの傷の具合も、気にしているだろうからな」
「うん!ありがとう!」
ウィルの具合も気になるし、モジャモジャからかばってくれたお礼もまだ言えていないから、あたしはキッチンを飛び出した。
ーーけど、ウィルどこだろう?
ログハウスのどこかだろうけど、思いのほか部屋数が多い。一つ一つ見て回ろう。