モジャモジャは低く唸って、身体を低くかがめたーー飛びかかってくるつもりだ!
「ウィル!ねぇ!ウィルってば!」
「っ!!」
はっと気づいたように慌ててあたしを自分の後ろにかくまうと、モジャモジャを見据えて、腕を大きく振った。
腕を振るのにあわせて、辺りの物がふわりと浮き上がった!
「ーーはっ!」
腕をモジャモジャに向けると、浮かび上がった物たちも一斉にモジャモジャ目掛けて飛んでいく!
「キィー!キッ!キィー!」
鳴き声も猿みたいだーーじゃなくて!全部避けられちゃった!
「あのモジャモジャすばしっこい!」
あたしも側にあった割れたお皿を投げてみるけれど、まったく当たらない。派手な音を立てただけだ。
「……はぁーー」
ウィルがもう一度辺りの物を浮き上がらせたけれど、なんだかふらふら揺れて頼りない。
「ウィル、顔色悪いよ!大丈夫?!」
「だいじょう……ぶ、です」