床下収納には、焦げ茶色のモジャモジャがうごめいていた。
そのモジャモジャが顔をーーギラギラした一つ目をあたしに向けた!
「きゃあ!!」
モジャモジャがあたしの腕を引っ掻いて飛び出してきた!腕にぷくりと三本の赤い線が浮き出るー一痛い。
「ミカさん!」
ウィルが腕をつかんでモジャモジャから距離をとろうとする。
「あ……」
「ウィル……?」
ウィルはあたしの腕をつかんだまま、固まってしまう。目はじっとあたしの腕ー一血に見入っている。その目が、赤い。
こうしている間にも、モジャモジャは唸りながら身体を左右に振って威嚇している。ーー見た目は、かぎづめを持った一つ目の猿みたいだ。