「そりゃ、誰もいないみたいだけど……」
「どうせ、雨が止むまで立ち往生だ。中に入ってしまおう」
「ダネルまで……」
ウィルの方に目を向けると、肩をすくめて中に入るよう促される。
「んー……お邪魔します……」
仕方ないから、あたしも中に入った。中は埃っぽくて散らかっていて、誰か使っている気配はない。
「一応、散策しておくか」
「俺は向こうを見てくる」
「んじゃ、俺こっち」
ダネルとカインはさっさと中を見に行ってしまった。
ーー探険気分なのかな……。
「僕達は、あっちを見てみましょうか」
ウィルも呆れたように苦笑して、二人が見に行った方とは別の方を指差す。
「そうしよっか。何か見つかるかもしれないし」
ーーって!これじゃあたしも宝探し気分じゃない!