「もう痛くない?ほんとに大丈夫?」
「大丈夫ですよ。安心してください」
ウィルに優しくなだめられて、ようやくあたしも落ち着いてくる。
「それにしてもーー止むまで立ち往生だな」
酸性雨は止む気配もなく、むしろますます激しく降っている。
「仕方ありませんね……。止むまで、中で雨宿りさせてもらいましょうか」
ウィルが、ログハウスの扉を何度かノックした。
「何の反応もないな」
「勝手に入っちまおうぜーーほら、開いたし」
言いながら、カインはさっさと扉を押し開けてしまう。
「勝手に入ったら、怒られちゃうよ!」
「ん?もしもーし!おじゃましまーす!」
耳が痛くなるほど大声で叫ぶと、やっぱり何の反応もないのを確かめて、にやりと笑う。
「一応、『お邪魔します』って言ったし、これだけ叫んで反応がないなら、誰も居ないだろ?」