雨に当たらないように、壁に背中が付くまで下がって背伸びをする。
この方がよく見えると思ったんだけど、たいして変わらない……。
「まだ、かな」
もう一度めいっぱい背伸びした時、水煙の中に動く人影を見つけた。こっちに走ってくる。
「みんなー!だいじょうぶー?!」
まだ姿ははっきり見えないけど、待ちきれなくて叫んでみる。
「なんとかー!」
返事が叫び返される。ウィルの声だ!
それからすぐに、三人とも屋根の下に走り込んだ。着ていたコートは三人とも穴だらけで、皮膚にも、あちこち焼けただれたような痕がある。
「三人ともひどい怪我!ど、どうしよう……!」
救急箱なんて持ってないし、そもそも、ばんそうこうを貼ったぐらいで治る怪我には見えなかった。
「安心しろ。すぐ治る」
「安心なんてーーえ……?」
ダネルの落ち着き払った声に顔を上げると、三人とも、怪我がみるみるうちに治っていく。
「ほら、すぐ治っただろ?俺等魔物は人間よりずっと丈夫だからな。痛いのも一瞬だ」
「一瞬って……」
一瞬でも、痛いものは痛いと思う。注射だって、『一瞬チクッとしますよ~』って言われるけど、その一瞬のチクッが痛くて、嫌だもん。