「よしっ、さっさと出発するぞー」
「……寝坊したのはあんただろう」
「あ?おまえだってウィルに起こされるまで寝てたじゃねぇか」
「俺はあんたみたいに『あと五分』云々とずるずる寝ない」
「あ、あれはちょっと身体を起こすのに時間が掛かっただけだって!眠ってた訳じゃねぇって!」
「そうか」
「納得するなよ!突っ込めよ!んな訳ねぇだろ寝てたんだよ!」
ーー自分で白状しちゃったよ……。
すっかり日が昇りきった頃に、ウィルが鍋とおたまをカンカン打ち鳴らして二人を起こしたのだ。
ダネルはすぐに起きたのだが、カインはずるずると『あと五分』を五回も繰り返していた。
「ほら、もう出発しましょう。今からなら、お昼には着きますよ」
「そうだな。寝坊助は置いていこう」
「置いてくなよ!ーー出発!」
ささっと先頭に走ると、こぶしを掲げて宣言する。
「しゅっぱーつ!」
それにならって、あたしも手を振り上げて森に入っていった。