「あのさ・・・そんな軽い話じゃないよな?
妃とは真に愛し合わなくちゃ、意味がないんだから。
愛し合うには時間がかかる。
そんなこと、俺にだって分かるさ。
早い者勝ちなんて、あるわけないだろ。」


キャスパトレイユは、ムッとして呟いた。
そして、きつい視線を天王ウェルザに向ける。


「覇王には、魔界の王子になってもらえよ。
・・・て言うか、そう言う親父はどうなんだ?
親父は、天王でもあり、覇王でもある。
その親父が『覇王になんて、なるんじゃなかった』って、いつも言ってるじゃないか!」


「それはそうだが、仕方がない。
私は、シンシアを愛してしまったんだから。
覇王になりたくて、シンシアを妃にした訳ではないんだ。
愚痴くらいこぼしたって、いいではないか。
覇王の職は思った以上に忙しくてな。
シンシアとゆっくりと過ごす時間さえ、取る暇がないのだ。」


恥ずかしげもなく、父はシレッと言ってのけた。