え?何で二人ともそんな苦い顔してるの?
「聞いちゃ……まずかったですか?」
「うーん、せやな。お嬢さんにはきっと難しい話やろうし」
難しい話?そんな風に言われたら余計気になっちゃうよ。
「とにかくお前を喰う事は諦める。俺たちはもう行くから」
「え?ちょっと、待って……!」
ハルさんはだるそうに首を鳴らしながら、家を出ていこうとする。あたしはそれに続くコウさんの裾を掴んで止めた。
「困っちゃうなー離してくれへんか?」
やんわりと、あたしの腕を掴んで自分から離れさせる。その行為に、あたしの胸はズキンと痛んだ。
……迷惑なんだ。
これ以上自分たちの領域に踏み入ってくるな、彼らはそう言ってるんだ。
思わず流れた涙を頭巾で隠す。……そう、そうだよね。元々彼らにとってあたしはただの餌でしかないんだから。
仲良くなんて、なれるはずない。
―――でも。