おばあちゃん……あたしは今、夢を見ているのでしょうか。
「ハルちゃんは見境ないからなー。危なかった」
「……腹減った」
「ちっとは我慢しいや」
聞きたい事は数え切れないほどあるけど、とりあえず一番の疑問を。
「あの、お二人は、その、どうしてそんな事ができるんですか?」
仲良さそうに喧嘩する二人の間に割って入る。関西弁の狼さん、もといコウさんが「ん?」と首を傾げてあたしの顔を覗き込んだ。
「そんな事、って?」
あたしの反応を楽しんでいるかのように、にやにやと笑うコウさん。その後ろで腕を組みながらあたしを見下ろすハルさん。
その空気が何となく気まずくて、あたしは慌てて赤頭巾を拾って深く被り直した。
「っ、だから……その、狼なのに人間の姿になれる、って事です」
「あー、はは」
コウさんは困った笑顔を浮かべながら助けを求めるようにハルさんを見た。
「……言わない方がお互いのためだろ」